傲慢と善良

映画【傲慢と善良】を鑑賞してきました。

〜STORY〜(公式サイトより引用)

仕事も恋愛も順調だった架だったが長年つきあった彼女にフラれ、マッチングアプリで婚活を始める。そこで出会った控えめで気の利く真実と付き合い始めるが1年たっても結婚に踏み切れずにいた。しかし、真実からストーカーの存在を告白された直後、「架くん、助けて!」と恐怖に怯えた着信を受ける。彼女を守らなければとようやく婚約したが、真実が突然姿を消した。両親、友人、同僚、過去の恋人を訪ね居場所を探すうちに、架は知りたくなかった彼女の過去と嘘を知るのだった―。

 

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目次

  1. 前置き
  2. 印象に残ったシーン①婚活出会いのシーン
  3. 印象に残ったシーン②架からのプレゼント
  4. 印象に残ったシーン③嘘バレからの失踪劇
  5. 印象に残ったシーン④前田美波里さん&過去のお見合い相手
  6. まとめ

前置き

どうやら【婚活】がテーマの映画らしい。

そんな話を聞き、職業柄映画館に足を運びました。いや...元々大の映画好きなので、職業柄..というのは建前かもしれません。そんな私がこの映画を鑑賞するにあたって事前に得ていた情報は以下のとおりです。

  • 婚活をテーマにした映画らしい
  • マッチングアプリでの出会いらしい
  • 恋愛ミステリーらしい
  • 原作があるらしい

なんともふんわりした情報のみで挑みました。この感想を書くにあたって、以下の点も記しておきます。

  • 原作は(まだ)読んでいません
  • 婚活カウンセラーという立場で鑑賞

 

※以下より大いにネタバレしてますので、これから鑑賞される方はご注意ください!

印象に残ったエピソード①

物語がスタートしてまず目に飛び込んで来るのは、 藤ヶ谷太輔さん演じる西澤架が、婚活アプリでマッチングした女性と次々と出会っていくシーン。

結婚相談所でいうところの【お見合い】のようなシーンの連続。架は婚活界隈で言うところの”超ハイスペ男子”に該当しており、お相手女性は皆架の条件(会社経営という肩書き・センスの良い名刺・身につけている高級腕時計・レベルの高い容姿)に魅了されているかのような印象を受けます。

架はそんな女性達にピンとくる事なく、ひたすらルーティン化した婚活をこなしていきます。

ルーティン化した婚活....

そうなんですよね。婚活って、ルーティン化しやすい要素をはらんでいます。お見合いで新しい人と出会うたびに、約60分という時間の中で、毎回似たような会話(質問)をしてお相手を見定めたり、あるいは自分をアピールしたりします。

ルーティン化した婚活だと感じながらも、架は待ち合わせ直前には自身の身だしなみを気にして、毎回新たな出会いに期待を膨らませます。しかし、その後のお見合いのシーンでは会話が盛り上がる気配はなし。いつも通りの展開。期待と現実のギャップに辟易しているように見えます。

そもそも架は、お見合い中はお相手女性がどんな人か?という興味よりも、お相手が自分のことをどう思っているのか?という思いでしかお相手を見ていないように感じました。実際、悲しいかな知り合うお相手女性達からは架のスペックを確かめるような質問が飛んできます。そして女性の視線の先はいつも、架が左手首にはめている高級腕時計。

婚活は就職活動に似ているという架のセリフが出てきますが、ここでは架が無意識に面接官側になってお見合いをしているなという印象を受けました。

ですが。奈緒さん演じる坂庭真実に出会った時だけは、

  • 彼女が待ち合わせ時間よりもかなり早く来ていた
  • 本を読みながら静かな佇まいで待っていた

ことで、今までにない出会いが訪れた瞬間が描かれています。今までスマートにお見合いをこなしていた架が、テーブルのガタガタを気にしたり、なんとなく心がソワソワしている様子が伺えます。

そして真実の店員への態度、隣の席の他人への配慮など、真実に対してだけは興味を持って視線を向けていることが良くわかります。今までにはない変化でした。

このシーンで注目すべきは、他の女性と真実の違いです。先に述べましたが、そもそも現実の婚活の世界で、お見合いの時に男性よりも先にお見合い場所に到着して、しかも本を読みながら心静かに待機している女性ってどれくらいいるのでしょうか。

淡々と数をこなしていくルーティン化された婚活において、そのような女性は一際目立つ(印象に残る)存在であることは間違いないと感じた瞬間でした。(本を読んで待つという演出は、本当に目から鱗!)

印象に残ったエピソード②

交際1年目を迎えたレストランでのシーン。真実の誕生日が近いということもあり、架は真実にプレゼントを渡します。どっからどう見ても【婚約指輪】を想像させる、リボンがかけられたジュエリーBOX。ワクワクドキドキしながら開いてみると、そこにはまさかのネックレス..。

いやいや、ネックレスかい!!このシーンの真実の失望っぷり。

  • 婚活アプリで知り合ったふたり
  • 30代の男女
  • 交際1年
  • 友人を紹介されるなど関係はオープンで良好
  • プロポーズされてもおかしくない雰囲気のレストラン

これでもかという条件が揃っているのに、婚約指輪ではなくネックレスを渡して満足そうな笑みを浮かべる架。鈍感と傲慢。そんなワードが頭をよぎりました。架はテンションが急降下した真実の気持ちに気づく気配はありません。

...このシーンははっきり言って『マッチングアプリならではの展開だな』の一言でした。マッチングアプリの場合、いくら婚活に特化したアプリで出会ったとしても、結婚したい時期や熱量って人それぞれなんですよね。「いずれ結婚したい」という程度の熱量の人も当然いらっしゃいます。結局結婚の熱量が高い側がモヤモヤしてしまう、マッチングアプリではよくある展開です。

結婚相談所には今本気で結婚したい人しかいないので、このような展開はないです。

このシーンを境に、真実の人となりが徐々に開示されていくストーリー展開となっていきます。

それにしても、30代で1年も交際して来たのに、結婚に対するすり合わせは何もしてこなかったんだな..と思わずにはいられませんでした。(二人に対してヤキモキ)

印象に残ったエピソード③

このプレゼントをきっかけにして、結婚に対して煮え切らない架に対して真実はストーカーに付きまとわれているという嘘をついて、同棲へ持ち込んで婚約まで進めることに成功します。

地味で真面目で控えめな印象の真実が、こんなにもあざとい行動をとるなんて!という怒りの声も聞こえてきそうですが、私は不快感は抱きませんでした。むしろ毒親のもと善良に生きてきて、自身も心のどこかで従うことの方が楽だと感じていたはずなのに、ここまで大胆な行動を起こすなんて立派!と思いました。

実際のところ、綿密に計画を立てて嘘をついたというよりは、焦りと不安からついそのような行動に出てしまったという印象を受けました。

ですが、そんな嘘は架の女友達にあっさりと見破られ、さらには架が自身を70点(正確には結婚したい気持ち70%)と評価していたと知らされてしまいます。ショックを受けた真実は婚約指輪を自宅に置いて、そのまま失踪..

嘘が見透かされても器用に取り繕えばそのまま結婚出来たであろうに、その選択をせず失踪した真実。理由は二つ。一つは、自分が架にとって70点の価値しかないと評価されていたことに対して、怒りと悲しみを覚えたからですよね。本気で愛されてないなと感じたから。そしてもう一つは、70点の価値しかない自分に失望したから。自己否定と他責思考のダブルパンチ。キツいですね。

一方で、自身の嘘&失踪で架が受けるダメージを思いやる事なく逃げてしまうあたり、真実の自己愛の強さを感じました。

印象に残ったエピソード④

前田美波里さん演じる、結婚相談所の小野里さん。もはや仲人歴40年くらいあるんじゃないかと思わせるくらいの貫禄!

現代の婚活にまつわる確信をついた話を架にぶつけるのですが、いかんせん言葉が強い。

  • 今の日本の婚活は傲慢と善良。自分の価値観に重きを置きすぎて、皆さん傲慢。その一方で自己愛が強い
  • 傲慢と善良が矛盾なく同じ人の中に存在してしまう

などなど、刺さるセリフが目白押し。

自己愛については、私は架よりも真実の方に強く感じました。架に内緒でInstagramにリア充投稿していたり、なんなら失踪後も投稿し続けていて、さらには失踪先の町で架の姓である西澤を名乗っているあたり。なかなかのレベルです。

架と出会う前、毒親の勧めで出会ったお見合い相手のお二人に対しても、自己愛炸裂してましたよね。傲慢さの要素もありました。

余談ですけど、この2人のお見合い相手の男性がまた秀逸。リアル。

特に1人目の方。清潔感や聡明さは感じられないけど、人柄は間違いなく良さそう。

真実にとっては(生理的に)NGでしたが、その後他の女性と幸せな家庭を築いているシーンがありましたね。このくだり、婚活あるあるだなとしみじみ。誰も悪くない状況なんです。AさんにはNGな部分も、BさんにとってはNGじゃない。だからこそ、婚活って一度や二度の失敗で挫けて終わりにしたらダメなんですよね。そう思わせるシーンでした。

話は戻り、前田美波里さん。こんな方が結婚相談所の担当者として実在したら、どんなに傲慢な婚活者さんでも善良にならざるを得なくなりそうです。目指したいと思います。(嘘です)

まとめ

傲慢とは:他人を侮り、思い上がった態度をとること

善良とは:性質が穏やかで素直なこと

誰しも傲慢さと善良さは元々うちに秘めていて、社会で人と関わり合う過程で大なり小なりそれが露呈されます。傲慢さが勝つ1日もあるだろうし、善良な自分で過ごせる1日もある。

ただ婚活においては、

  • 傲慢さと善良さをいかにコントロール出来るか
  • お相手の傲慢さが見えた時に正面からぶつかり合えるか
  • 傲慢さがぶつかり合った時に、折り合い点を模索する関係性を構築出来るか

この3つが成婚できるか否かの分かれ道になるのではないかなと思いました。そして劇中のセリフにもありましたが、

  • 結婚に対して明確なビジョンがあること

これも婚活では必要な要素となりますね。成婚への近道と言っても過言ではありません。架はこの要素が欠けていたために結婚に踏み切ることが出来ませんでしたし、一方で真実はビジョンを持って婚活していたはずなのに、そのビジョンは自己愛に満ちた上っ面だけのビジョンであったと物語の終盤で気づいたように見えました。

ラストでは、本音で語り合い互いに弱さやカッコ悪さを見せ合うことで、今までとは違う【好き】の絆でふたりは結ばれます。

出会いから2年に渡る二人の物語。拗らせはあったものの、結果として縁が結ばれただけでなく、婚活を通して人として成長した二人の姿が見られて安堵の気持ちで映画館をあとにしました。

おわりに

リードリンクス婚活相談所代表の洞口です。あなたの婚活をお手伝いします!

婚活業界に身を置いている者として、傲慢・善良というこの2つのワードを意識しながら仕事することは今までありませんでした。しかしこの作品を通して、普段頻繁に起こる婚活業界独特の葛藤が、傲慢・善良という言葉を用いることで一部言語化出来たなと感じます。

今回私は婚活カウンセラーの立場で鑑賞しましたが、もう一度観る機会があったら、今度は婚活者の立場として鑑賞してみたいです。

刺さるセリフがある一方で、婚活者目線だといやいや現実はもっとシビアだぞと、物足りなさを感じる部分もあるかもしれません。そもそも少し恋愛の要素が多すぎましたね。(映画作品だから当たり前か!)

この感想を書き記した後、辻村深月さんの原作を読み始めたいと思います。恐らく映画は原作よりもライトに描かれている部分があると思いますので、また新たな感想が生まれることと思います。その際はまたブログに書きたいと思います。

 

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